INTRODUCTION

2010年東京フィルメックスグランプリ受賞・劇場デビュー作『ふゆの獣』の内田伸輝監督最新作は、待望の完全自主制作。内田伸輝が撮り続けてきた「他者への依存」がテーマ。いまを生き延びようとするオルタナティヴ・ラブストーリー。

構想3年・撮影1年・仕上1年・現場スタッフ3人。オーディションで選ばれた主演二人・須森隆文と櫻井亜衣のリアルな魂の演技。肉体も美しい名バイプレイヤー松永大輔、NHK『シャキーン!』『貌斬り KAOKIRI』の森谷勇太ほか、自主映画界の優しいオヤジ・志戸晴一や内田組常連・高木公佑も出演。録音は『ジョニーの休日』監督の新谷寛行、音楽をイタリアのノイズデュオYami kuraeが担当。撮影ほか8役を斎藤文、内田伸輝が監督ほか8役を担当。劇場公開に向けあらたにサウンドを調整。

制作ノート

制作ノート

人と人との関わりあいだったりそれぞれの関わりあい方への興味からその背景に透けてみえる社会を自主映画として作ってきた内田伸輝は、『ふゆの獣』劇場デビュー後、他社と組んで『おだやかな日常』『さまよう獣』の二作品を撮った。同時に、思う存分ジックリ撮りたい、自主で撮りたい思いが膨らんでいた。

2014年11月
題材を「恋愛とは何だ」に決定。公私にわたるパートナー・斎藤文との日常会話の中から、撮影はどうするかなど実際的側面も含めて膨らませていった。
2015年1月
日刊ゲンダイの美人局の記事を目にし、美人局とニートの恋愛についての企画書とプロットを作成。脚本を書き始める。
3月
主演俳優のオーディション、応募総数100件上。同月、須森隆文が決定。髭の濃さと、何度ものダメ出しをよく聞き忠実に再現しようとしながらも自分のオリジナリティを入れていこうとする姿勢があった。
4月
ヒロイン応募総数100件上から櫻井亜衣が決定。日本人には稀な、眼だけでさまざまな感情を表現できた。オーディション参加の松永大輔と森谷勇太、出演歴のある志戸晴一と高木公祐、俳優ワークショップ参加者からなど全キャスト決定。
5月
都内ロケハン。須森隆文は役作りのための衣装準備、櫻井亜衣にオーディション映像を見ながら演技のダメ出しと役作りのための参考資料を渡す。
5月30日
クランクイン。脚本にない街を歩く須森と櫻井を撮影、二人の状況を踏まえつつ脚本を書き直し。毎週日曜日の撮影のために、仕事をこなしながら、水曜夜からは脚本と俳優と天気と炊き出しを考えつつ、どう撮るかを考えるという斎藤の日々も始まった。撮影はキャノンEOS 5D MarkIIIと5本のレンズとほぼ自然光。
6月
決定稿(第10稿)完成。脚本に沿って、昇と樹冬のシーンから始め、他の登場人物を順次撮影。
10月
夏のシーン撮了。都内のデモのシーンは、新宿でシールズが実際にやっていたもの。埼玉近郊の荒川沿いでの森のシーンでは、粉塵のように舞いあがる蚊の脅威を知った。須森の髭が伸びるのを待つ間、海と地方都市のロケハンをしつつ、脚本改訂。
11月
冬のシーン、撮影再開。海は太平洋沿いの千葉から茨城付近。翌月は埼玉で、生きる標語を貼っている達也の家のシーン、ほか町田などでも撮影。
2016年4月3日
クランクアップ。昇が海に入って書を燃やすシーン4日目(週一のため1ヶ月目)も夕闇との戦いとなった。
4月10日
海の実景撮影。
4月24日
都内・屋上からの実景を終えて、全クランクアップ。
7月
粗編終了。7日、配給担当の共同プロデューサー・日下部宅で今後の展開打合せ中に紹介されたJacopoのバンドの音楽を使える事となり、不足していたサウンドに目処がついた。
10月
ポスプロ終了。斎藤文初のグレーディング、色味を黒く落とした。内田初の全サウンド、セリフを聞かせる作りより色んな騒音が聞こえてくる生活というリアリティを重視した。
11月20日
第17回東京フィルメックスコンペティション部門正式上映、日曜日の午後6時より有楽町朝日ホールにて。公開決定チラシ設置。
2017年2月
東京フィルメックスで上映時のサウンドについて再考、配給と相談を重ね、劇場公開用にサウンド調整を決断。
4月29日
ユーロスペースで、予告編・ポスター展開と前売販売開始。ゴールデンウイーク期間中にほぼ全キャスト・スタッフ集合して宣伝討ち入り。
5月下旬
調整サウンド確認を経てDCP完成予定。
6月24日
ユーロスペース初日。